リカレント教育(生涯学習) 22講座
※リカレント教育の講座の一部には、「臨床音楽士」に言及している内容が含まれています。
講座 | 講師 | 講座内容 | |
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1 | 医学概論 | 東京女子医科大学名誉教授 岩田誠 | 医療が日常生活上必須の営みであることは、誰でも知っていますが、医療とは何かという問いに答えるのは、容易ではありません。また、病気、障害、あるいは健康といった日常用語についても、その意味するところを定義するのは、意外に難しいのです。この講座では、日常何気なく使っているそれらの言葉の意味するところを考えつつ、医療の本質について述べてみたいと思います。 |
2 | 精神医学 ・オリエンテーション ・総論 ・各論1 ・各論2 | 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 精神科部長 大前晋 | ■オリエンテーション 「精神医学」は、総論1(それは「医学」なのか?)、各論1(1. 精神医学の対象とその分類)、各論2(「憂うつ」と「うつ病」の関係)の3部構成です。それぞれの講座は独立しています。したがって、総論→各論1→各論2という順番通りに受講する必要はありません。どの講座からでも受講できるように準備しています。おすすめは、各論2→総論→各論1の順番です。 ■総論 ― それは「医学」なのか? 要点は、なぜ精神医学とはどのような意味で「医学」なのか?という問いです。精神異常を医者が見るって、どこかフシギに思いませんか?少なくとも、心筋梗塞や糖尿病を医者が見るほど当たり前で自明とは感じられないのではないか?ここでは精神異常と精神疾患の関係を射程におきながら、精神疾患とはなにかを講義します。 ■各論1 ― 精神医学の対象とその分類 精神医学の対象は、精神障害全般です。精神医学の役割は以下の通りである。はじめに精神障害の起源を分類し、つぎに起源に即した治療方針を立て、今後の経過を予測しながら必要な治療をおこなう。精神障害の起源の分類は以下の通りです。1. 精神疾患1(症状器質性精神障害)、2. 精神疾患2(内因性精神障害)、3. 非精神疾患(心因性精神障害)。 この3分類が精神医学すべての基本です。 ■各論2 ― 「憂うつ」と「うつ病」の関係 日常用語の「憂うつ」と医学用語の「うつ病」は違います。「憂うつ」と「うつ病」の関係は、「咳」と「肺炎」の関係と似ています。肺炎だから咳をするのであって、咳をするから肺炎にかかるわけではありません。また、咳をしているからといって、肺炎にかかっているとは限りません。肺がん、喘息といった重篤な疾患なのかもしれないし、ビスケットをのどに詰めてしまったのかもしれません。もちろん必要な対応はそれぞれ違ってきます。ここでは3通りの「憂うつ」、すなわち1. 現実的な不幸、2. パーソナリティつまり人柄と、その人を取り囲む環境のミスマッチ、3. 精神疾患としての「うつ病」について講義します。 |
3 | 緩和ケア ・総論 ・各論 | 京都大学大学院医学研究科 臨床腫瘍薬理学・緩和医療学講座特定講師 嶋田和貴 | ■総論 わが国における緩和ケアの対象は主としてがん患者とその家族である。そこでは症状のマネジメントといった医療的ケアだけでなく、心理面や社会背景への配慮が求められる。そのため、医師や看護師だけでなく、さまざまな職種による多職種連携や学際的視点に立った支援活動が重要である。 他方、がん診療の一翼として発展してきたわが国の緩和ケアの歴史は、世界における緩和ケアの歴史からみると、非常にユニークといえる。世界的には、がんだけでなく非がん疾患も対象に緩和ケアは発展してきた。わが国でも急速な高齢化を背景に、がんだけでなく心不全も診療報酬の対象に含まれるようになった。今後も様々な疾患が緩和ケアの対象となる可能性が予想される。対象疾患が拡大することは、支援に関わる職種の多様化を促すと考えられる。 本講座の総論では緩和ケアの歴史的背景を踏まえながら、わが国の現状、緩和ケアの一般的な考え方について概説する。最後に、緩和ケアにおける音楽療法の適応について臨床的視点で考察する。 ■各論 各論では、緩和ケアで遭遇する頻度の高い、疼痛、不安について、仮想事例検討を用いて診療の流れやマネジメントの方法を概説する。最後に緩和ケアにおける音楽療法を文献的に考察する。 |
4 | 神経系の解剖と生理 | 東京女子医科大学名誉教授 岩田誠 | ヒトの精神活動は、「知・情・意」から成ると言われますが、これ等は全て脳の営みです。そして、それを実現しているのは、脳の構成要素である“神経細胞(ニューロン)”の活動です。この講座では、神経細胞の活動を中心にして、「知・情・意」のメカニズムを考えてみたいと思います。 |
5 | 認知症 | 東京女子医科大学名誉教授 岩田誠 | 認知症とは、病気の名前ではありません。神経細胞が徐々に減っていく病気のために知的能力が低下し、それまで営んでいた社会的役割を果たすことが出来なくなった状態が、認知症です。本講座では、認知症の原因疾患とその対策について述べるだけでなく、認知症発症予防における、音楽の役割についても考えてみたいと思います。 |
6 | 悪性腫瘍 | 公益財団法人 日本対がん協会 会長 国立がんセンター名誉総長 垣添忠生 | 悪性腫瘍の代表はがんなので、主としてがんについて述べることにします。がんは日本人の二人の一人が一生のうち罹患する病気であり、年間100万人の人々が新たにがんとなります。つまり、がんはどなたも無縁に生きることは難しい病気となってきました。がんはその種類(肺がんとか大腸がんとか乳がん・・・等)、進行度、悪性度、遺伝子異常などによって、病名は同じであっても内容はきわめて大きな多様性に富みます。特に進行がんであることを告げられた時、治療が巧く進んでいたと思っていた人に再発、再燃が起きたときなど、患者さんはもちろん、御家族も大変つらい刻を過します。 そんな時、美しい映像とか、心に浸みいる様な音楽は、精神的に落ち込んでいた患者さんや家族の大きな力になります。その意味で私は岩田先生から依頼された「臨床音楽士取得コース」の講師を引き受けたのです。 この悪性腫瘍のコースでは、がんとはどういう病気か?、がんの予防、がん検診、わが国のがん対策、この四点に絞ってお話しました。 先ず、がんという病気の理解が重要ですから、そこからスタートしました。そして、わが国も含めて世界のがん対策は予防、検診、がん医療、緩和ケアの4本柱で構成されています。これ以上医療費の増大を招かないで日本人をがんから守るには、がんの予防と検診に注力することが合理的です。そして、がん対策基本法とがん登録推進法という二つの法律に基づき展開されるわが国のがん対策を理解しておくことはとても大切です。 がんは医療上の問題であることはもちろんですが、経済問題であり、がん患者、家族の差別などの問題が生じうる社会的問題でもあります。このように重層的な病気のポイントを押さえて臨床音楽士が活動して下されば、がん患者、家族にとって大きな意味があると信じます。 |
7 | 感染症 ・基礎編 ・実践編その1 ・実践編その2 | 国立病院機構京都医療センター 総合内科医長 小田垣孝雄 | ■基礎編 「ウイルス、細菌という単語を聞いたことがあるけれど、他の人に説明できるほど詳しくはない。」 「微生物は小さくて目に見えないから不安だ。」 そういう方が多いと思います。 感染症基礎編では、 1)感染症とは何か? 2)とりわけ医療機関で問題となる院内感染とは何か? 3)そして、医療機関ではたらく者にとって院内感染の知識がなぜ重要なのか? この3点に関して、臨床音楽士にとって必要な基礎的な知識を身につけていただきます。 ■実践編その1 感染症は微生物によってもたらされます。感染症には必ず微生物の通り道(感染経路)があります。したがって、感染対策では、その通り道を断つことが重要です。 実践編その1では、医療従事者が患者に接する際に必要な、標準予防策および感染経路別予防策(空気感染予防策、飛沫感染予防策、接触感染予防策)について学習していただきます。さらに感染症として最も頻繁に問題となるインフルエンザと感染性胃腸炎について学習します。 ■実践編その2 はじめに「実践編その1」で学習した標準予防策と感染経路別予防策について復習します。重要なことは繰り返して学習しましょう! 次に、予防接種で感染予防が期待できる感染症について学習します。予防接種は私たち職員自身の体を守り、それを通じて患者さんの体も守る効果が期待できます。 そして最後に、私たち職員の体調管理が患者さんを感染症から守ることを学んでいただきます。 |
8 | 神経難病とてんかん | 東京女子医科大学名誉教授 岩田誠 | 神経難病とてんかんは、極めてありふれた病気でありながら、その病名ゆえに、社会的に疎外されやすい存在です。それらの病気の本態についての理解を深めていただき、それらの病気に対峙する態度を築き上げていただくのが、本講座の目的です。 |
9 | 音楽演奏家のジストニア | 東京女子医科大学名誉教授 岩田誠 | 何らかの運動を行おうとした時に、意思に逆らって、その運動を邪魔するような運動が不随意に生じてしまう現象は、ジストニアと呼ばれています。このような現象は、ピアニスト、ギタリスト、打楽器奏者などでよく見られます。本講座では、このような音楽演奏家のジストニアについて学習します。 |
10 | 看護・介護論1 | 医療法人社団澄鈴会 箕面神経サナトリウム 地域医療推進連携室室長 認定看護管理者 元国立病院機構京都医療センター 看護部長 森田文 | 看護の心とは、みんなが潜在的に持っている、思わず手を差し伸べたくなる感情だと思います。しかし看護とはなにか、何をすることなのかを言葉にするのは、簡単そうで意外と難しいものです。この講座では、看護とは何かを探り、人生のあらゆる場面に必要とされる看護を、看護職がどのように提供しているのかを考えていきます。併せて、高齢化社会になり注目を集める介護について理解し、看護との共通点や違いを考えていきます。 |
11 | 女性と健康 | 社会医療法人 愛仁会 千船病院 院内助産・産科外来 リソース ナース室 母性看護専門看護師 助産師 濱田恵美子 | 女性が健康で過ごしていくには、自分自身の身体に起こる変化について理解しておく必要があります。女性ホルモンの変化に伴う、起こりやすい身体症状をご説明し、その時々の発達段階を見ていきます。女性の性周期についても理解していただき、最後に、現代女性の出産について事例をお話します。この講座を通して、自分自身の人生設計を考える機会となればと思います。 |
12 | 音楽療法 ・総論 ・各論(精神科領域) ・各論(高齢者領域) | 東京女子医科大学病院 神経精神科 非常勤講師 久松春子 | ■総論 この講座では音楽を提供する側と対象者双方にとって、“療法的に意味のある音楽とは何か”を考えます。そして音楽療法が「いつ」、「どこで」、「誰を対象として」、「どのような方法と目的で」実施されているのかということを理解し、歌唱と伴奏、打楽器やピッチ楽器の用い方などを具体的に学びます。 ■各論(精神科領域) 音楽はその人の健康的な面を引き出しやすく、動機づけになりやすい特性があると言われています。この講座では、多職種の連携の必要性や対象者の状態や気持ちに沿った対応を考えます。また対象者の特性や行動をどのように捉えて評価するのかを学びます。 ■各論(高齢者領域) 直接感情に訴える音楽は言語的なアプローチよりも優先されます。高齢者にとってなじみのある音楽は安心感につながりやすく、また皆で一緒に歌うなど音楽をすることにより人や社会と接する機会になります。この講座では対象者の気持ちや要望を考え、演奏者が自ら柔軟に音楽を提供する大切さを学びます。 |
13 | 病院・施設での演奏活動における倫理と心得 | 国立病院機構京都医療センター 脳神経内科 音楽療法士 京都認知症総合センター 音楽療法士 飯塚三枝子 | ホールやコンサート会場での演奏とは違って、そこが医療施設、介護が必要な方々が暮らしている場所。という時、そこには一定のルールや環境の特異性があります。演奏者側も戸惑うことが少なくありません。演奏を依頼された施設側にも受け入れられる姿勢、知識を学んでいただき、医療者と多職種連携のもと命を守っている施設で心温まる演奏活動をするための基本知識として知っておいていただきたい講座です。 |
14 | 老年医学 | 京都認知症総合センター 宇治武田病院高次脳機能センター 康生会武田病院 神経脳血管センター所長 秋口一郎 | 加齢に伴い高齢者に多くみられる医師の診察や介護・看護を必要とする症状・徴候の総称である「老年症候群」について学習します。 ・老人性難聴の原因と症状 ・視覚障害 ・虚弱(フレイル) ・サルコペニア(筋力低下) ・ロコモーティブシンドローム(運動器老化) ・メタボリックシンドローム ・認知症の危険因子 ・アルツハイマー型認知症と他の認知症との 関係 ・認知症の予防 ・治療と対策 |
15 | 脳卒中 | 東京女子医科大学 神経内科 公益財団法人東京都保健医療公社 大久保病院 脳神経内科 内科部長 原由紀子 | 脳卒中の種類、症状と検査所見、急性期と慢性期の治療、予防について説明します。 脳卒中の危険因子(高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙、飲酒、遺伝、高齢、肥満、心疾患)が1つでもある人は必見です。 |
16 | 各種疾患 ・疾患1 (循環器・呼吸器・腎) ・疾患2 (消化器・糖尿病・血液・その他) | 国立病院機構京都医療センター 総合内科 後藤雅史 | ■疾患1(循環器・呼吸器・腎) 循環器系、呼吸器系、腎臓の生理及び疾患についておおまかに説明いたします。 ■疾患2(消化器・糖尿病・血液・その他) 消化器系、糖尿病、血液系の生理及び疾患についておおまかに説明いたします。 |
17 | 看護・介護論2 | 医療法人社団澄鈴会 箕面神経サナトリウム 地域医療推進連携室室長 認定看護管理者 元国立病院機構京都医療センター 看護部長 森田文 | 高齢化社会が到来し、看護・介護への期待は高まり、その仕事にも変化が生じてきました。この講座では、医療介護を取りまく社会環境の変化を知り、これからの看護・介護のありかたについて考えていきます。また、看護・介護職として臨床音楽士に期待することや、気を付けて頂きたいことについて述べてみたいと思います。 |
18 | リハビリテーション医学 | 社会医療法人大道会 森之宮病院 神経リハビリテーション研究部/神経内科 神経内科部長 畠中めぐみ | リハビリテーションとは、病気やけがなどで身体に支障をきたしたり、病気で虚弱になったりした方が、持っている能力を最大限に活かしながら心豊かな生活を送ることをめざす取り組みです。障がいを少しでも軽減させるよう身体に働きかける医療も大切ですが、症状や困難に対して、本人や家族を中心として、多職種からなる医療チームが同じ目標をもって寄り添い、症状にあわせた日常生活動作のしかたや生活環境を整え、前向きな気持ちへの変容を支援する関わりも欠かせません。 |
19 | 医療と社会 ・医療と倫理・法律 ・医療・福祉の制度 | 社会医療法人 愛仁会 尼崎だいもつ病院 脳神経内科 脳神経内科部長 中村道三 | ■医療と社会/医療と倫理・法律 医療に携わる者は、医療者としての倫理観を持ち、関連する法律を遵守しなければなりません。音楽を通して医療機関で活躍する皆さんにも臨床音楽士としての倫理観が求められます。守秘義務はじめ、臨床音楽士が持つべき倫理規約を見ていきます。 ■医療と社会/医療・福祉の制度 医療や介護がどのような法律や制度のもと、どのように行われているのか、そしてどのような問題があるのかを学びます。また、臨床音楽士が訪問することになる病院や施設にはどのような種類・性格のものがあるのかを学びます。 |
20 | 音楽の生理・心理作用 ・音楽の生理作用 ・音楽認知のメカニズム ・音楽認知の心理作用 ・音楽の好ましい作用・好ましくない作用 | 横浜未来ヘルスケアシステム 奥沢病院名誉院長 昭和大学医学部名誉教授 河村満 | ■音楽の生理作用 音を聴覚的に感じることが音楽を聴くことの原点です。脳では音をどのように感じるのかという生理作用について説明します。 ■音楽認知のメカニズム 音楽認知のメカニズムを、失音楽(amusia)症例の検討から解説します。失音楽を呈した症例は古くから記載され、最近でも報告されています。これら症例についての神経学的、心理学的考察をします。 ■音楽認知の心理作用 音楽を認知する際の人の心理はどのようなものなのでしょうか?これについて医学的な立場から解説したいと思います。 ■音楽の好ましい作用・好ましくない作用 音楽を聴くまた演奏するときにはたくさんの好ましい作用が生じます。それらについて、医学的な根拠も含めて説明します。一方、時には好ましくない作用も生まれることがあります。これについても説明し、対応法などを提案したいと思います。 |
21 | 臨床における観察 | 社会医療法人 愛仁会 尼崎だいもつ病院 脳神経内科 脳神経内科部長 中村道三 | 医療の現場で医師や看護師はどのような点に着目して患者の状態・緊急性を把握しているのか、その基本を学びます。また、みなさんが病院に行った時に目にするであろう医療機器を紹介します。 |
22 | 臨床音楽 | 国立病院機構京都医療センター 脳神経内科 音楽療法士 京都認知症総合センター 音楽療法士 飯塚三枝子 | 患者さんに寄り添い、的確な音楽や演奏行動が行えるように考えて行きます。日本の臨床音楽の形をとらえながら、文化の発展やグローバルでの臨床音楽の動向にも着目します。臨床音楽は医療や心身のリハビリテーションに大きな力として発揮できるかもしれません。医療の現場で、癒しの時間として、また、生きていく活力として演奏を聴いてくださる方々と音楽を通して関わることができる喜びを演奏者は感じながら、真摯に取り組むことを学ぶ講座です。 |
- 臨床音楽士習得コース(前期)
- 臨床音楽士習得コース(後期)
- リカレント教育(生涯学習)